単純な場所

sophisticated girl; plain space

誘拐

午前 5 時 20 分、地獄起き((C)森博嗣)で防災訓練。雨。40 戸以上ある社宅だが他の参加者はなし。実にまっとうな判断だと思う。防災という、いわば普遍的なテーマにもかかわらず、田舎の因習としか思えないのが不思議。

『誘拐』を観る。公開当時、従来の日本映画とは違うということが喧伝されていたが、何処をどう切っても純然たる邦画。全体として『砂の器』から進化した形跡はみられない。善し悪しは別として。

面白くない訳ではないのだが、大きい仕掛けに頼りすぎ、全体としてサスペンスが欠落しているのは痛い。売り物の群集シーンにしても無自覚なロングの多用が緊迫感を削いでいる。ここは監督のセンスを問わねばなるまい。ラストときたら、まるで 2 時間もののサスペンスドラマみたいである。

と書いているうち、やっぱりこの映画は評価しちゃイカンなという気になってきた。実際のところ、気負った脚本に注目すべきところがあったとして、旧来の映像・音響・演出手法がそろって駄目にしているのだから、不幸という他はない。いや、音響については手法以前、妙な雑音が気になるというレベルだから論外。脚本にしたところが、陳腐な人物設定しかないあたり、工夫が足りないんだけど、それにのっている長瀬正敏のオーバーアクト、これはもう予定調和の域に達している。

Published on: 1998/8/30

Categories: 映画