スフィア
『スフィア』を観る。ごった日記には「さほど評判にもならなかった気が」とあるが、いや、悪評だけなら数限りなくあった。「懐かしのSF映画の趣向を利用し、ミステリ的な驚きも用意された」とは、なるほど善意ではそういう評価もありかと目からウロコが落ちる。
何しろ名作の露骨な翻案である。ジャンル映画でないことを志向しつつもスターシステムにのっている。単純に辻褄のあわないことが多い。あるいは辻褄を合わせるために、禁じ手を使っている。独り善がりな演出だ。自己相対化を拒むその向こうに、あからさまな大作志向が透けている。
と、まぁ、貶そうと思えば幾らでも貶せる。いわば脇の甘い映画。深海に非日常の遺跡という仕掛け自体は、ガメラ風でいいんだけどなぁ。
Published on: 1999/12/4
Categories: 映画