単純な場所

sophisticated girl; plain space

亡国のイージス(読了)

『亡国のイージス』読了。ただ感嘆するのみ。冒険小説のただしく傑作と呼ばねばなるまい。不本意ながら香山某の惹句にあるがごとく。

しかしおそらくオヤジには分かるまい。作者の映像的センスはまさに同時代のそれ。あの映画やこのフィルムや例のアニメを知るものこそ二倍楽しむことが出来る仕掛け。略歴をみれば案の定、ほぼ同年代であることに深く頷く。勿論、物語としての結構も尋常な巧妙さではあり得ない。物語の結末近く、いわば父と子が邂逅を果たすシーンでは、巧緻の限りを尽くしてこの長大な小説を組み立てていった作者の作業に驚嘆しつつ、深いカタルシスを得ることになる。強く推奨。

Published on: 1999/12/23

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