黒祀の島
小野不由美『黒祀の島』を読む。実を言って『屍鬼』の系統かと思っていたら惹句には本格推理小説とあり、その通り、フーダニットの部分はよく考えられているのだが、過剰な部分が重い、重い。その名のみ語られる登場人物を追ううち、何だかどうでもいいような気にすらなり、例によって共同体は陰鬱であり、作者は何が楽しくてこれを書いたのだろうとも思ったのである。それはともかく、主人公の捜索行についてはその対象を直接、描写する部分を徹底的に排除した方が、劇的な効果は上がった筈だ。
Published on: 2001/2/12
Categories: 本