英雄の条件
『英雄の条件』を観る。冷戦が終われば今度の敵はアラブとばかり、イエメンの少女に銃を撃たせてみせるセンスは憎む他ないが、そのイエメンでの地獄巡りにはインパクトがあり、商業的に巧まれた作話の底の浅さが悔やまれる。オーソドックスながら陰影のある画面や、淡々と進行する軍事法廷のシーンすら、それなりに味があると思いもしたが、意図不明の父親や息子の登場あり、そもそも考えてみれば、類型に終始するこの映画の真意は奈辺にありや。少なくともイエメン国民には、これに抗議する正当な根拠があるはずだ。この映画の原題は「交戦規則」であって、そんなものを自国で試されれば誰だって堪らない。しかも制作者の関心は一時たりとも、紛争のその理由までには至らず、なお悪いことに実話風のオチまでついているのだ。
Published on: 2001/3/9
Categories: 映画