単純な場所

sophisticated girl; plain space

スターリングラード

『スターリングラード』を観る。『プライベート・ライアン』と同様の手法とはいえ、列車輸送、続くボルガ河渡河の展開は状況を過不足なく、不条理ばかりは過剰に描写して冒頭から見ごたえがある。登場人物が英語を喋っているのが気になるのもそこまでだ。何しろ兵隊は「ウラー」の鬨の声と共に突撃するのである。

貴公子ジュード・ロウは意外にも田舎出の主人公にハマっており、一方、敵役のエド・ハリスも生まれながらのドイツ将校としか思えず、これまた見事。キャスティングの妙はおくとして、ありきたりの恋愛ドラマを持ち込んだために緊張感に奇妙な濃淡が生じていることも残念なら、レニングラード攻防戦の進行が年月だけで知らされる物語的説明の不足も惜しい。全体として金がかかっていることが明らかでありながら、使い回しのカットが存在するのもいかがなものか。とはいえ狙撃手対狙撃手のモチーフは個人的な琴線に触れており、ソビエト側からの描写となっているのも新鮮で、全篇を刮目して観る。

Published on: 2001/10/27

Categories: 映画