単純な場所

sophisticated girl; plain space

狂骨の夢(続き)

引き続き『狂骨の夢』を読む。細部に至る加筆・修正があり、だからといって大きく変わっている点はないと思われるのだが、首を落とした理由について初出で、フロイトにでも尋くんだねとかわしているところを、文庫では加えて「でも君はとっくに答えを知っているさ」と傍点付きで駄目を押している。ノベルズでツッコミのはいった部分を補強した意図が窺われ、一流の韜晦だろうと思われるのだが、結果、読者にとってはどうにもその答えが気になって仕方がない。しかし、これは作者が投げた、ある種の詛いに他ならず、つまるところそんなことを気にしても仕方がないということなのだろう。

Published on: 2002/2/17

Categories: 本