ドミノ
『ドミノ』を観る。実話に基づく、とはあるものの、物語自体は大方がフィクションであろう。映像はほとんど『マイ・ボディガード』のノリであり、目新しさというものはない。トニー・スコットは実在のドミノ・ハーヴェイに心酔してこの映画を作ったという話だが、脚本のリチャード・ケリーは主人公をハタ迷惑でかなり浅薄なキャラクタとして捉えていたのではないか。賞金稼ぎ一味は誤解に基づき暴力を行使する阿呆の群れとして描かれており(しかし本人たちは真剣そのものなのだ)、ドミノその人にも感情移入はかなり難しい。FBIプロファイラ役のルーシー・リューは手厳しいコメントをするのだが、それがもっともだ思われるのでは、アクションを盛り上げたところで茶番にしかならない。ドミノ・ハーヴェイは本作の完成直前に亡くなっていて、これが本望とはとても思えないことから後味は悪い。親方のミッキー・ロークは予想外にいい感じで、収穫といえばこれくらいか。
Published on: 2006/4/23
Categories: 映画