ゆれる
『ゆれる』を観る。評判のよい西川美和監督の作品を観るのは初めて。オーソドックスだが線の強い演出で随所に工夫が凝らしてあり、必要な場面では手持ちのカメラも使ったりと弛むところがない。話自体もよく出来ていて、カインとアベルの変奏であることが図式的にあからさまである一方、『薮の中』のモチーフではないかと錯覚させる構成となっていて理解を惑わせたりというところもあるのだが、それすら確信犯ともみえ、原案・脚本でもある監督の才気は立派なものである。いろいろなところが優れた映画表現であり、納得性の高い演出であり、俳優陣もそれに応えて熱演している。
Published on: 2007/3/4
Categories: 映画