地下鉄(メトロ)に乗って
『地下鉄(メトロ)に乗って』を観る。どうもにもぶつ切りの演出であり、つなぎに使われているトンネルの映像も何だか笑ってしまうくらい安直な発想で、全体に工夫とみられるところが少ない。満州のシーンで出てくる先生が野平先生だということに、一体、何人の観客が気づいているのか。無理な話を納得感の少ない演出で語ってしまっていて、昭和のセットもウェザリングのない平板なシロモノだし、大沢たかおの演技も情緒過多な感じがあって、そもそも、その結末は何やねんと原作に対してさえ異議があるのだが、シンプルな親子の相克を、重ね塗りのように積み重ねていくテーマ自体の線の太さのようなものがあって、泣けないところでは泣けないにもかかわらず、泣けるところでは泣けているのである。まいったね。
Published on: 2007/4/3
Categories: 映画