単純な場所

sophisticated girl; plain space

007/カジノ・ロワイヤル(2006)

『007/カジノ・ロワイヤル』を観る。傑作であろう。ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンドは期待通りの粗暴さであり、パルクール風のアクションがあるにせよ、殴りあいの末、首を締め上げるのが基本形で、事案もそれに合わせて現実的な展開となっているので、スメルシュだのスペクターだのの登場は願ったってあり得ない。フォードに乗って登場し、64年型のアストン・マーチンを博打で巻き上げるジェームス・ボンドが確信犯的に造型されており、ウオッカ・マティーニはシェイクじゃなきゃ嫌だなんてことはもちろん言わず、しかしなお、ここ一番の大博打ではタキシードの上着を脱いでみせるそのセンスが素晴らしい。『カジノ・ロワイヤル』という原典をひいて全く新しいジェームズ・ボンドを創造した脚本の才気たるや、いや全く大したものだと思ったら、ポール・ハギスまで名を連ねているのである。さもありなん。

The name’s Bond… James Bond.

というセリフに、分厚いジェームズ・ボンドのテーマが初めてかぶってくるエンドロールには喝采する他、何ができるだろうか。

Published on: 2007/5/24

Categories: 映画