単純な場所

sophisticated girl; plain space

マリー・アントワネット

『マリー・アントワネット』を観る。カノン・ロックというのがあって、バッヘルベルのオリジナルも好きなら、ロックの方も結構、好きなのだが、ソフィア・コッポラによるこのフィルムはそうした試みに似て、どちらかというと自身の表現手法を突き詰めていくことに関心の偏った映画で、史実のマリー・アントワネットはあまり関係ない。いや、沐浴を好んだとか、ハーブを好んだとかいう話がソフィア・コッポラ的にうまいこと消化されていて、そういう意味では題材をよく活かしている。全編、優れた色彩感覚で設計されている反面、きちんとしたレイアウトを作らない画面で、善きにつけ悪しきにつけ作家性は発揮されており、題材にもかかわらずガーリーな映画となっていることには感心した。一方、いわば技巧に執着したアタシの映画であって、生理的な反発を受けるというのも何だかわかる。

Published on: 2007/8/25

Categories: 映画