バベル
『バベル』を観る。何しろ話題になって、いろんなところで紹介されていたお陰で初めて観たような気がしないのだが、子細を追ってみれば、特に日本パートは細部の違和感が大きくて、察するにモロッコのパートも同様の瑕疵をかかえているのではあるまいか。この理由により賛否両論、というのも実によく判るのだが、映画としての主題は明確であり、手つきもそれほど悪いモノじゃない。空間的に広げられたそれぞれのエピソードが微かに繋げられる一方、有り様の深度において多様な断絶がしかし通底する失意により奏でられていて、総体としては陰鬱なオーラがにじみ出ている。狙い通りだと思われ、しかしその狙いが好みかといえばそれは別の話であるものの。
Published on: 2007/12/7
Categories: 映画