単純な場所

sophisticated girl; plain space

主人公は僕だった

『主人公は僕だった』を観る。例によって如何なものかという邦題だが中身は傑作であろう。ウィル・フェレルの映画を観て、涙ぐむことがあろうとは思いもしなかった。ジャンルとしてはコメディである。ウィル・フェレルは一度も戯けることなく、エマ・トンプソンもダスティン・ホフマンも概ねシリアスなのだが、面白い。脚本の出来は素晴らしいという他なく、セットアップからエンディングに至る構成はシンプルかつ端正であって、ターニングポイントの置き方、サブ・プロットの展開も教科書通りなのだが、それが形而上的な仕掛けの複雑さをうまく消化していて、弛みもなければ無駄もない。端役の設定ですら練られたものであってアーキタイプは明確だし、人生訓的なテーマすらあるのである。感服した。

Published on: 2007/12/22

Categories: 映画