単純な場所

sophisticated girl; plain space

告発のとき

『告発のとき』を観る。ポール・ハギスらしい真面目な映画である。『クラッシュ』と同様、社会そのものの抱える問題と路傍の死を扱っているが、描き方はだいぶ異なっており、中心にはどっしりとトミー・リー・ジョーンズを据えている。『クラッシュ』にあったかすかな救いのようなものがなくて、最後に掲げるのが救難信号であるあたりは深刻。題材はイラク戦争であり、当地における現実を扱っているが、当然のことながら掘り下げられるべきテーマは普遍的なそれでもあって、重い。トミー・リー・ジョーンズはもとから下手な役者ではないが、引退した軍警察軍曹であり、背骨となっている生き方に揺らぎを感じざるを得ない状況に追い込まれる父でもある人間を演じて嘘臭さを感じさせない。語り口はかなり凝っているので2回観る必要があるかもしれない。

Published on: 2009/1/17

Categories: 映画