インセプション
『インセプション』を観る。クリストファー・ノーランの作品の近年の特徴は、旬の役者をうまく使うというあたりにあって、ジョセフ・ゴードン・レヴィットやエレン・ペイジが同じ画面にいるというだけで、キャスティングの趣味に感心してしまうわけである。これにキリアン・マーフィやトム・ハーディが加わった列に並んでいるのだから、渡辺謙も想像以上に評価されているのだな。
ストーリーも映像作品としての背骨がしっかりしていて、つまり映画以外の表現方法がないという文脈で実によくできているし、たとえば、カフェのシーンでは被写界深度の向こう側で心をざわつかせる動きが演出されていたり、特に画面に関しては細部まできちんと設計されており感心する。物語世界の構造はあるにして、結末に関して言えば、そもそも胡蝶の夢のことであるからには、論じても仕方のないことである。
Published on: 2010/12/25
Categories: 映画