単純な場所

sophisticated girl; plain space

ルビー・スパークス

『ルビー·スパークス』を観る。19歳で傑作をものにし以降10年間書けないでいる小説家が主人公で、みんなが大好きなライターズブロック設定に、『主人公は僕だった』みたいな仕掛けを絡め、これがツボというところがあって、それだけでもかなり満足なのだけれど、『恋するベーカリー』で可愛らしいだけの妹を演じていたゾーイ・カザンが脚本を書き、それどころか実生活でも恋人であるポール・ダノと共演していて、甘酸っぱいような切なくなるようなラブストーリーに仕上がっている。「燃え尽きた天才」というのは英雄譚の一類型で、数多の映画があるわけだけれど、そのなかでもかなり好みと告白しなければならない。おすすめ。

監督は『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトン & ヴァレリー・ファリスでシンプルで洒落た画面もいいし、音楽も気が利いていて、いろいろ満足感がある。

甘いだけでもなくて、ポール・ダノ演じるカルヴィンが暗黒面に堕ちるくだり、

If this is how you think about people…then you are in for a long, lonely, fucked-up life.

というルビーの迫力には思わず震える。

Published on: 2013/6/7

Categories: 映画