ガンズ&ゴールド
『ガンズ&ゴールド』を観る。冒頭からの雰囲気は『BOY A』を想起させるところが少しあって、刑務所を舞台にした内省的な語り口なので、どういう方向の映画だろうと訝しむ気持ちもあったのだけれどストーリーはだいぶ意外な方向に転がっていく。舞台は西海岸のように見えるけれどオーストラリア。ユアン・マクレガーが年季の入った犯罪者の役で、主人公を庇護し、主に悪い方に導き、利用する役回りとなっているけれど、物語自体は寡黙な主人公の目を通して描かれ、やがて父権との相克が背面動機として立ち上がってくる仕掛けなので全体に生真面目な印象のつくりとなっており、いわゆる「人間が描かれている」印象が強く凡百のアクション映画とは一線を画している。そうはいっても後半にかけてフィルムノワールな展開があり犯罪映画としてのオチもあったりして、ありきたりでなく、出自がハリウッドではなくオーストラリア製であることの独自性のようなものが感じられ悪くない。監督のジュリアス・エイヴァリーは初めての長編ということだけれど、奥行きを感じさせる自らの脚本を美しく映像化している。
Published on: 2015/6/10
Categories: 映画