単純な場所

sophisticated girl; plain space

6888郵便大隊

Netflixで『6888郵便大隊』を観る。第2次世界大戦において有色人種の女性だけで編成された唯一の部隊が、陸軍の郵便輸送事務を完遂する任務を負って欧州に渡る。あまりにひどい差別を受けながら、精一杯の自制をもって任務にあたる女性たちの闘いを描いた映画。実話をもとにしたという触れ込みではあるけれど、現実はより過酷で救いのないものだったのではなかろうか。全編に、どこかファンタジックな色彩があるのだけれど苦味はもっと強かったと思うのである。どうでもいいけれど冒頭、大隊のミッションが政治主導で決まるあたりは『プライベート・ライアン』とそっくりの展開で笑ってしまう。

『海に眠るダイヤモンド』のエンディングにかけて、いちばんぐっとくるのは、進兄がサイダーを両手に持って「どっちがよか?」と聞くくだり。荒木鉄平は迷いなく「どっちもおんなじ」と答えるのだが、これはつまりあり得たかもしれない人生についての問いであり、我々はこの人生を迷いなく選択したものとして生きるほかないのである。

Published on: 2024/12/23

Categories: 映画