単純な場所

sophisticated girl; plain space

エイリアン:ロムルス

『エイリアン:ロムルス』を観る。Audibleにある『エイリアン 虚空の影』と同じく、時系列では『エイリアン』と『エイリアン2』の間にあるというスピンオフ作品で、原作といっても不思議はないほどに重なるのだけれどクレジットはされていないみたい。『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレスが監督をしており、なるほど状況とサスペンスの作り方はとても上手い。

話の起点となるのは絶望的な宇宙植民地の奴隷労働で、ウェイランド・ユタニ社の悪辣さは相変わらずだとしても、これに比べると『エイリアン2』ではもう少し家族的な植民が想像されていたから、参照しているであろう現実の格差は作品時系列の設定を脅かすほどに悪化しているのである。『エイリアン2』が1986年の作品で、数えれば39年前ということにも震える。

ノストロモ号と同様に本作でも宇宙船の機器はブラウン管的表現で再現され、そうしたセットだけなく、画面のカットやセリフにもエイリアンが蓄積してきた記号がふんだんに盛り込まれている。一方、今にちのCGが可能にする無重力表現もうまく使われていて、オマージュばかりでないあたりは志高く、なかなかよくできているのである。

Published on: 2025/2/1

Categories: 映画