東京ディストピア日記
桜庭一樹の『東京ディストピア日記』を再読している。コロナウィルスのパンデミックと緊急事態宣言の記録で、2020年の今ごろから始まったあれこれについて書かれているのだけれど、自分がすでに当時の出来事や気分をだいぶ忘れてしまっているのに驚く。筆者が稗史というこうした記録が重要であることは、やはり後から振り返ってみなければわからない。それはもちろん、今ここの日常についてもそうなのである。
この事態の初期に感染学者のひとりがCOVID-19の感染拡大が終息したと言えるようになるのは2027年から28年ごろではないかという見通しを語っていたのを憶えているのだが、季節性のインフルエンザに10倍する死者を出しているだろうことを考えれば現時点でもパンデミックは終わっていないと言えるのだろうし、実際のところだいたい正しい見立てなのではないかという気がしている。
Published on: 2025/3/20
Categories: 本