単純な場所

sophisticated girl; plain space

神曲法廷

『神曲法廷』読了。今更ではあるがプロの物語作家としての山田正紀を評価したいと思う。特に超常的な部分の処理は『霧越邸』の試みなどより余程、しっくり来る。好みは分かれるだろうけどね。躊躇わず物語を語ることはそう出来ることではなく、“小説を書かない”小説家の尻込みを軽々と超越したところでこの作家は仕事をしている。プロたる由縁。

笠井潔の解説にも注目。「メフィスト賞作品として刊行されたトンデモ本格やオフザケ本格の類は、それ自体はなにも生むことのない現代本格の派生物、露骨にいえば寄生物である」 ほんと露骨だし、他の誰でもない笠井潔が言い切っちゃったからには「そういうこと」になるのだろうな。いや、全く同感だけど。

Published on: 1998/1/11

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