評決のとき
『評決のとき』を観る。原作を読んでいない家人は状況の把握に苦労していたようだが、映画としては良い出来。特に「正義の女神」を主人公が見つけるラスト近く、誰もが予想し得る結末に、改めて整理された道筋を持ち込む遣り口は秀逸。混乱が収束されるプロセスそのものが物語のテーマを象徴して、最終弁論を支援する。脚本の完成度の高さは評価されて当然。
だがしかし、否、であるが故、この映画に限っては原作を読んでから観た方がいいという気もする。何の予備知識もない日本人が普通に観た場合、法の正義が蔑ろにされているという印象に落ち着きかねないが、それもまたもったいないことだ。余計なお世話だろうが。
Published on: 1998/5/30
Categories: 映画