スモーク(反芻)
で、まぁ、映画のテーマ自体は冒頭、あからさまな形で提示される通り、失われたものの重さを残された亡骸で量る作業そのものということになるだろう。タバコの煙、つまり計量不可能なものの重さを、繰り返されるエピソードは執拗に描くが、その視線もいうなれば煙の行方を追うそれに等しく執着とは無縁。物語的な救いが用意されているにしても、それらは実に慎ましいものであることを考えれば、脚本家のこうした資質そのものが救いであるともいえる。これもまたポール・オースターの魅力のひとつ。
この週末で英語のプレゼン資料を三つデッチ上げなければいけない、というわけで仕事。
Published on: 1999/10/16
Categories: 映画