単純な場所

sophisticated girl; plain space

月の裏側

恩田陸『月の裏側』を読む。こういう小説は論じることが難しい。舞台と同じく、世界も閉じている。物語的な不備があったとして、それを論じるのにも気がひける。最近では小野不由美と同じ感触だが、文章のイメージ喚起力という点では勝っているようだ。

テレビで『八ツ墓村』を観る。渥美清が金田一耕介という例のヤツではなく、豊川悦司。多少、軽佻な探偵もいいとして、これをリメイクする意味が何処にあるのかという一点で謎の大きい映画。市川崑が撮れば、こうなることは自明なのだから、監督の責任とは言えぬ。

それはともかく配偶者が『八ツ墓村』と聞いてホラーなのかと尋ねたのは、まぁ、愛敬として、これが金田一少年のお爺さんかという物言いには、おのが内なるデリケートな何かが眉を顰めたことよ。

Published on: 2000/3/25

Categories: 本