獣たちの夜
またまた東京出張。
往復のあずさで押井守『獣たちの夜』を読了。アマゾンで早速、購入したうちの一冊。同時に買った洋書がいっこうに届かなかったこともあり、アマゾンには早くもネガティブな印象を抱いているのだが、よく考えるとペリカン便の不手際なんだよな。
で、内容はといえば、安さと量だけが取り柄と描写される焼肉屋での延々60ページにおよぶシークエンスをはじめ、警視庁捜査一課の後藤田某、貰い煙草を特技とするそのくたびれた中年男が全編で活躍するという、ファン感涙の一冊。押井守そのまま、丸輪零ならぬ三輪零が主人公だけあって、活写というにふさわしい高校生活動家の生態描写と、ならではのペダンティックな文章に、ときに微笑み、ときに血潮を滾らせる。思い入れから言って今年一番の収穫であることは疑いなし。西呑屋あるじも森博嗣を読んでる場合じゃないって、いや本当に。
歌舞伎町の『天下一品』で、かつてラーメン以外の何かとも評された、こってりラーメンを喰う。スープもさることながら、客筋のある意味での濃さにも驚嘆。さすが歌舞伎町だけあって深淵を覗きこむかの如き奥の深さである。
Published on: 2000/12/4
Categories: 本