単純な場所

sophisticated girl; plain space

スペシャリスト 自覚なき殺戮者

終業後、PC指南のために同僚宅へ。混乱も無理はないソフトウェア上の仕様があり、パソコンが万人のツールとなるためには幾つもの冬を越えなければならない。

本日の『プロジェクトX』は「温水洗浄便座」がテーマであり、一般に尾籠とされる表現を、田口トモロヲが例の口調で例によって語り続けるという、ある意味で冒険的な内容となっている。あるだろうなと誰もが予想する「トイレの鬼、と呼ばれていた」という哀愁漂うフレーズも当然のようにそこにあり、その様式美、その完成度、その普及ぶりを考慮すれば「語り口」の発明こそが『プロジェクトX』の功績であると考えるのである。

『スペシャリスト 自覚なき殺戮者』を観る。編集意図は明確である。その意図を越えた直観が可能であるという意味で優れたドキュメンタリーであるとも云える。あるいはそれこそが事実のもつ力である。アイヒマンに関して、村上春樹は想像力の問題なのだと書いていたが、どうやらそればかりではないという気もしたのである。

Published on: 2002/9/17

Categories: 映画