ミュンヘン
『ミュンヘン』を観る。そもそも何が事実だったかなど、知りようもない事件を題材としているだけあって、DVDにはスピルバーグ自身が出てきて釈明を行うイントロダクションまで入っている。いろいろな意味で反響が大きかったということだろう。本編自体はテクニカルによく考えられた作りであり、何しろ細部に至まで手を抜いたところがないので自ずから立ち昇るリアリティというものがあって、2時間46分という長尺が長くない。エリック・バナは隘路を分け入って行く暗殺者を演じ鬼気迫り、本国ではコメディアンというキャリアが俄には信じられぬ。食と死が対照を為して、料理が得意という設定も効いている。有名な世界貿易センターのシーンは大仰でない感じがよろしく、全体としてよく出来た映画というべきではないだろうか。
Published on: 2006/8/26
Categories: 映画