今宵、フィッツジェラルド劇場で
『今宵、フィッツジェラルド劇場で』を観る。ロバート・アルトマンの遺作であり、ゆるやかにたゆたうようなカメラワークによる群集劇。一時代と呼ぶに値する公開ラジオショウの終わりの一夜を描きながら、涙なし、老人の死は悲劇ではないと囁くような物語である。実在のモデルであり、脚本をモノにしたギャリソン・キラーの名調子は全く素晴らしく、ある種のカルチャそのものといった趣だ。登場人物にはファンタジー由来の天使や私立探偵がいながら、ライブショウのなかで渾然となって不思議な世界を作り出している。佳作。
Published on: 2007/7/20
Categories: 映画