単純な場所

sophisticated girl; plain space

宇宙戦争

『宇宙戦争』を観る。スピルバーグの2005年版。改めてみると114分しかないのだが、何しろテンションが高いので短くは感じない。世界は理不尽な大量死に溢れ、昼間の画面は多くがハイキーでどこかしら不自然であり、薄気味の悪い低音が響いて、丘の向こうでは悲惨な抵抗が決行されているらしく、列車は炎上しつつなお高速で通過し、河は死者たちを流れにのせて運ぶ。その物語が

nor die, in vain.

という言葉で終わるのである。いやはや。トライポッドによる殺戮が始まれば、主人公は必死の形相で走り続けるしかないのだが、その背後の阿鼻叫喚を観客は目撃することになる。繰り返されるのは9.11を想起させる修羅場であり、トライポッドは地中深く太古から埋められていたという推測が何度も語られ、そこから現世的なアナロジーを読み取るのは容易だし、視覚的にも練られていて、とにかくよく出来ているのである。傑作であろう。

Published on: 2007/7/27

Categories: 映画