アメリカン・ギャングスター
『アメリカン・ギャングスター』を観る。年代記だが、物語はデンゼル・ワシントンが組織の跡目を継ぐあたりから始まる。前半は『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』を彷彿とさせる展開で、ビジネスとしての麻薬取引で成り上がるまで。デンゼル・ワシントン演じる主人公フランクはバンコクまで出向きコカインの直接取引を開拓、組織を作り、ビジネスプロセスをリエンジニアリングしたり、アライアンスを行ったり。起業プロセスをきちんと描くことにより、ビジネスから創出されるキャッシュが悪徳警官に還流する仕組みを巧いこと了解させ結末に繋いでいる。単なる正邪の対決にしないあたりが面白味であろう。黒人俳優の揃い踏みでもある。キューバ・グッディング・ジュニアがちょっと出ているのだが、いつもの清潔感がなく悪漢風にウェザリングがかかっており芸域が広がった感じ。このシーンもブランドマネジメントに関する講釈であり、どうやら犯罪における資本主義化の波は1970年代に押し寄せているのだが、これは他の業界とさほど変わらないタイミングであろう。
Published on: 2008/8/30
Categories: 映画