クレイジーズ

『クレイジーズ』を観る。ロメロ師匠の『ザ・クレイジーズ』のリメイクで、細菌兵器の流出によってゾンビの前駆症状が現れ始めた田舎町を軍が封じ込めるという話。舞台のイメージはキングの『アンダー・ザ・ドーム』とだぶる。1973年のオリジナルはある種の類型を確立し、さまざまな作品をインスパイアした名作なのである。

スプラッタな感じは限定的だし、アクションがあるというわけでもないのだが、状況はそれなりにきちんと描かれており、内容は盛り沢山で密度が濃いのでお得感が高い。主人公の勘がよすぎる、という見方も出来るにして、このあたりは話をテキパキとすすめるためには仕方がないのである。ロメロ版との決定的な違いは、封じ込めを行う側の狂気が希薄なところであり、人間が嫌いという根本的な動機がないがゆえにゾンビ愛が感じられない。

Published on: 2011/6/3

Categories: 映画