スパイ・レジェンド
『スパイ・レジェンド』を観る。ピアース・ブロスナンが引退したCIAのエージェントでオルガ・キュリレンコが陰謀に巻き込まれるヒロインという、ベタではあるが魅力的な設定のアクション映画。監督のロジャー・ドラルドソンは『ダンテズ・ピーク』でもピアース・ブロスナンと組んでおり、実はあれもわりあい趣味に合っていて、『世界最速のインディアン』では脚本もものにしておりこれも好きなので、地味ではあってもきちんとした仕事をする監督という印象があって個人的な好感度は高い。とはいえ、残念ながら本作の脚本は『プレデターズ』のひとが書いていたりするので、そもそも首を傾げたくなるようなところが多く、手堅くまとめるにも苦労したのではあるまいか。ジャンル映画としての出来はそれほど悪くないとして。
原題の『November Man』は作中で主人公の通り名として言及されていて”Cause after you passed through, nothing lived.”と言われたりするわけだが、なるほど!と膝を打ちつつ、よくよく考えるとかなり気恥ずかしいセリフを真顔で演じなければならない役者とは大変だと、何だか珍しくそんなことを思ったわけである。何しろ日本公開時の惹句は「奴が通った後に、生き残ったものはいない」なのだが、まさかそのままのセリフが仕込まれているとは。
オルガ・キュリレンコは『慰めの報酬』あたりからするとかなり堂々としたもので、もちろんのこと既に初々しさというようなものは失われているのだが、普通に存在感のある役者の仕事をしている。
Published on: 2015/6/6
Categories: 映画