宇宙兵志願
ハヤカワの近刊『宇宙兵志願』を読む。『火星の人』と同じく、KDPで人気が出た作品ということだけれど、あれほどの完成度はないとして、処女作にあるべき熱量は込められており悪くない。
タイトルの通り『宇宙の戦士』の流れに連なるSFだが、新兵の錬成にはじまり『ブラックホーク・ダウン』を想起させる市街戦、一転してエイブラムス版『スタートレック』みたいな近惑星圏から大気圏内での戦闘が描かれており、ロマンスの要素もあるので内容はかなり盛り沢山なのである。作者は同時代の映像の影響を受けているし、訳文も悪くないので読みやすい。
主人公は異能もなくヒーローというわけでもなく、政治的な主張もほとんど感じられないのが特徴といえば特徴で、結局は「つづく」という話なのでいろいろ投げ出した感はあるとしても、それでも読ませるのは立派といえよう。
Published on: 2015/6/7
Categories: 本