チャーリー・ウィルソンズ・ウォー
『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』を観る。テキサス選出で酒と女にだらしのない下院議員が主人公である。トム・ハンクスが演じているとはいえ、実話に基づくといわれてしまえば、どんな愛国的映画になるのかと不安にもなる。アフガンでハインドヘリコプターを撃墜する武器の供与を行うために秘密予算の獲得を始めたり、ジュリア・ロバーツがキリスト教保守派の富豪夫人だったり、フィリップ・シーモア・ホフマンが筋金入りのCIAとして登場し、これが終始、顔の三分の一を占めるレイバンのサングラスをかけていたりという感じなので、物語のほとんどは実に共和党チックなイコンによって構成されているのだが、終盤にはソビエトと戦うオサマ・ビン・ラディンが画面をよぎり、最後にチャーリー・ウィルソン自身の悔恨の言葉が引用されていることで、結構、内省的なバランスが取れているようにみえる。このあたりの消化の仕方はスマートで、左とみせて右という凡百の映画よりはよほど好感がもてるものの、歴史的評価の定まっていない政策について歴史上のifを持ち出した上で免罪に加担していることについてはハリウッド的に無頓着である。
Published on: 2008/5/9
Categories: 映画