私にふさわしいホテル
『私にふさわしいホテル』を観る。柚木麻子の小説を原作とする、のん主演の映画。作中の時間をいったん昭和において、山の上ホテルだの文壇バーだのといった風俗をそれなりに説得力のある画面で見せていて、文壇下剋上という惹句通りのどたばたしたおもしろさを醸している良作。何しろ、やはりのんがよいのである。このように演じることができる才能をほかに知らない。そして、キャスティングは総じてすばらしい。
そして脚本は原作のエピソードに結構忠実で、しかし映像化しやすい部分をうまく使って話をまとめている。結果として小説ではオチとしている部分を温存しているので、小説と映画の双方を別の方法で楽しめる作りになっている。これがどこまで意図したものかはわからないのだけれど、メディアミックスとしてはよくできているのではなかろうか。
Published on: 2025/3/15
Categories: 映画